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『独り暮し』を、常に望んでいるマンションの最上階の住人は、
毎日の仕事からの帰宅に、ウンザリしていた。
痢煙、実家に住んでいた頃によく「独り暮らししたいなぁ」って言ってたんですが
掲示板にそれを書いた日に、もうネタにして書かれてしまいました(笑)
『なにか楽しいことはないか』と辺りを見まわしみても、楽しい事は何処にも落ちてはいない。
何十年もの間、この地に住む者にとっては、新しい刺激も無く、何の変哲も無い街。
まあ、それでも、以前とは大分、変わってはきているのだが・・・
けれども、わたしは、こんな街が大好きである。
ダンボールに住む御伽婆(おとぎばぁ)の話、天井裏の釘女(くぎおんな)の話、
白いシミーズの女、こういった化け物を、普通に見えてしまう自分を育ててくれた街だ。
高足痢煙に、この能力が目覚めたのは、極々最近の話である。
それからというもの、幾度となく、おそろしいことが、目の前に降り注いでいる・・・
---今夜は何の話しをしようか・・・わたしは、こころの中で呟く・・・
そうそう、今年の夏、わたしは琵琶湖の畔で、わたしが携帯していたごく普通の油とり紙に、
とても奇妙な現象が起こったのだ・・・
スカートのポケットの中に入れてあった油とり紙がビショビショに濡れ、
長い長い髪の束が・・・絡み・・つ・く・・
これ「油とり紙」の所が実話です(怖)
2000年の夏に、琵琶湖まで遊びに行ったんですが、帰ってからそのような現象が!
髪の束は無かったけど、怖いよぅ。
s嬢にも言ったら、その事をネタにして書いています。
それからというもの、毎晩のように、濡れた長髪の女が、わたしの枕元に立っている・・・
それは、あの『シミーズの女』とも違う顔をしていた。
それは、とても、とても美しい顔つきだった・・・
しかし、どこか哀しげに、わたしを見つめていた。
『髪がね・・・同じなの・・・』---そう、わたしの耳もとで囁く・・・
---朧月の夜。
わたしは、深夜に開院する『ゆうひ病院』に通院する。
いつもの薬を貰いに行くのだ。
あるマンションの下にある、この病院は、毎晩のように、薄黒い異様な煙を出していた・・・
痢煙の住んでいた家の近所に、「あさひ病院」という病院がありました(笑)
今夜の通院の患者は、私をいれて三人のようだ・・・
待合室の長椅子に座って、わたしはジッと座っている・・・
わたしの正面には、白髪で、腰が異様に曲がっている婆さんが、
何やら口から不思議なモノを吐き続けている・・・
そして、ある一定のリズムで、急に震え出し、
『ヒヒ』と口から薄い、醜い笑い声を漏らす。
そして、また口から、何かを吐いている・・・
なんとも怪しい患者だ・・・
もう一人の患者の方はというと・・・これも怪しい・・・
席は、わたしのすぐ隣に座っている。
その患者は、こんな夜更けには、存在(いる)べきではない年令の女の子である。
そのおかっぱの少女は、空に手を翳し、何やら描いている・・・
まるで文字をかくように、手を素早く動かしながら、ブツブツと何かを言っている・・・
その囁き、言葉を聞こうとするが、いったい何を言ってるのかさっぱり解らない・・・
異様な言葉を唱えているように・・・・聞こえる。
コチコチ・・・
コチコチと柱時計の振り子が揺れている・・・
コチコチコチ・・・・
コチコチコチ・・・・
コチコチコチ・・・・
時間だけが過ぎて行く・・・
コチコチコチ・・・・
コチコチコチ・・・・
コチコチコチ・・・・
わたしは、その音だけを心に刻む・・・
すると、ゴーンゴーンと柱時計の音、時刻を示す音がした・・・
その瞬間、おかっぱの女の子が、とてつもない声をあげる----
「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!」
これまでの静寂が撃ち破られる!!
そして、目の前でも異変が起こる!!
あの婆さんの腰が逆に反る!!
そしてまた戻る!!
また反りかえる!!
そしてまた戻る!!
また反りかえる・・・
目の前の婆さんの腰は、まるでアメリカンクラッカーのように、
前、後ろと反りかえっている!!
そしてまだ続く、おかっぱ少女の奇声・・・
まるで、夜の森に嘶く、キジのひと鳴きのように・・・病院内が騒がしくなる・・・
ピタ。
唐突な静寂・・・
何が起こるのだ?次に・・・
その瞬間----
「高足 痢煙さ〜ん」看護婦が呼んだ。
私は看護婦に返事をしつつ席を立った。
もう、待合室は騒がしくはない・・・静まりかえっている・・・
先程の光景はもうこの部屋には無い・・・
あの、腰を激しく反っていた、アメリカンクラッカー婆は、
まるで物差しが背中に入れられたかのように、姿勢を正している。
そして、あの物凄い超音波の奇声を上げていた少女、おかっぱ少女は、いつのまにか、
どこからか出した画用紙に、クレヨンで可愛い花の絵を描いていた。
ごく、普通の娘が描くように・・・
先程までの行動、光景は嘘のように消えている・・・
これはいつものこと・・・なのである。
このような患者が、毎晩のように集う所なのだ・・・
しかし、わたしは、まだまだ慣れることができないでいる。
---わたしは、診察室のドアをあけ、中に入り、先生の顔を見た。
この病院の先生は、白衣を着ている所は普通の病院の先生と同じだが、
顔は包帯でグルグル巻きになっていて、まるでどちらが患者かわからないといった具合の先生である。
聞くところによると、重度の紫外線病らしく、日光にあたると肌が蕩けてしまうそうだ。
だから、深夜にしかこの病院は開院しないらしい・・・もっともである。
先生は、わたしが診察室に入ると、看護婦からカルテを受け取り、
なにやら看護婦の耳もとで話をする。
先生は、大声で話すことができないとも、聞いた。咽内がただれているらしい・・・
なにやら先生から聞き取った看護婦は、棒読みでわたしに告げる。
「これは紫水といって入浴材ではあるが、薬でもある。一度ためして欲しい。
この香りが喉に効くといわれている。」
そう私は、喉をいわしたのだ・・・
はい、まだ風邪が治ってなかったので(笑)
あの化け物にとり憑かれて、この病院に通い出したのだ。
あの化け物とは、シケモク女のことである。この化け物ことはいづれ話すとして・・・
今日はその最後の治療だ。
しつこい霊障なので、完治させるため、先生は新薬を探してくれていた。
「これは人魚化学舎が発明した新薬だ。肌から吸収するらしい。試してみないかい?」
そう、人魚科学者は知っている。あの先生がいるところだ。
この前のことを思い出した---このことも、いずれ話さなくてはならない・・・
わたしは、看護婦から、その薬を受け取り、病院をあとにした。
---月は雲に隠れている。
影もない漆黒の夜の中、赤神 丞 がいた。
わたしの目の前に・・・この男は・・この男の事は・今は・・言えない・・・
赤神が話しかけてきた。地を揺るがす程の低い声で・・・心が痺れる・・・
赤神 丞のモデルである、人形首の丞。
とても低くて、良い声をしてるんですよ〜。
「人形が泣いている・・・」
そう、一言・・・そして・・・わたしを見た・・・
赤神は女装をする美男子だけと、今は記しておく・・・
丞の夢、人物紹介でも書きましたが「男に生まれ変わって女装をしたい」
というものなんですね。
だからs嬢が、その夢を叶えてあげているんですね。
「痢煙さん。ちょうどあなたのマンションに向かってたところだ。」
わたしは、驚きもせず彼の両目を見た・・・
彼は赤眼をしている・・・片方の目は義眼と聞いている。
---昔、鬼にくれてやったそうだ・・・ということも記しておく・・・
「夜に、急に人形たちが泣き出して、あなたに危険が降りかかることを語ってくれた・・・」
わたしは、あの女を思い出した・・・
琵琶湖のほとりに立っていたあの女を・・・
これも実話なんです。琵琶湖のほとり、髪の長い女の人が手を振っていて・・・
まじで怖かったんですってば!
でも、それもネタになってる。
見初められたのか・・・
なぜ、そのような映像が浮かび上がったのかはわからない・・・
「痢煙さん・・・これ・・を・・・」
袋から、髪の毛が燃えたように、チヂレた毛をした人形が、三体も出てきた。
「一つは、ここに来ようって思った瞬間・・・燃えた・・・」
「次に、足止めを受けた時に・・」
「そして、今ここで・・・燃えた・・・そう、あの部屋に入ろうとしてね。」
赤神は、痢煙の住むマンションを見上げた・・・
黒い黒い煙のようなものが、わたしの部屋から出ている・・・
そして、青白い人影、そこに存在・・・する・・・
「最後の人形だ・・・きっと、あなたの代わりになってくれる・・・」
赤神は、そう言うと、黒いマントを翻し、漆黒の夜へと帰っていった。
赤神は不思議な風を纏った男・・・
痢煙、わたしは彼を見送り、マンションの入り口へ向った。
そして、エレベーター内に入り、『閉る』のボタンを押した・・・
あの陰に向かう・・・のに、一人なの?・・・そう、痢煙は心で反復するのであった。
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危険な部屋に帰るのに、赤神、一緒に居てくれたら良いのに(笑)
帰るんですか〜?
つづく・・・