鬼送りの章 *鬼隠しの子供達*  おろし!! #27 †鬼送り 三夜目†

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『お嬢ちゃん・・・ここは何処だい?』

『・・・・』

ダッ・・・・走り去る。

『あっ!・・・お・・お嬢・・・・・さ・ん・・・』

(空白)

『な・・なんなんだ・・・こ・・・ここは・・・・』

(空白)

『ちょっと・・・そこの…君・・・・ここは・・・なんて・い・う・・あっ』

ガサ・・・・・首が落ちる。

(空白)

(空白)

(空白)

(空白)

『うxxxxうっxxxxxx・・・・・・』

(空白)

『夢でもみているのか・・・わ・私は・・・』

ギン・・・酷い頭痛だ・・・

(空白)

『あっ、り、痢煙さん・・ど・どうしたのですか?こっこんなところで・・・』

『赤神様をお待ちしているだけです・・・・』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・(耳鳴りの音)

(空白)

(空白)

(空白)

 赤悪欲照は、目を覚ました。
酷い夢を見ていたようだ。そう、それは静かな悪夢であった。

ドッ・・ドッ・・ドッ

心臓は、まるで早鐘を打ったかのように、脈を打っている。

じっとりと、冷たい汗が背筋を凍らせた。
ゾクっとする寒さだ。

嫌な感じだ・・・

風邪をひく前のような、あのなんとも言えない気持ち悪さだ。

赤悪は、額の汗、玉のように吹き出た汗を、手でぬぐった。
じっとりと汗が手のひらに広がった。

上半身を起こし、暗闇の部屋を見わたす・・・
しかし、ぼんやりと部屋の家具の陰が見えるだけだ。
別に何かの気配を感じたわけではない。
なんとなくだ・・・そう、なんとなく。
目はまだ、目覚めたばかりで、この闇では
上手く機能していない。
つまり、ぼーっとしか見えないでいる。

赤悪 欲照は上半身を起した状態のまま、
今見た悪夢をなぞった。

しかし、はっきりとは思いだせない。
ただ、平凡なことが何故か恐かったように思える。
そんな夢だったように感じる。
だが、これはよくあることだ。
熱にうなされた時に見る夢がそうだ。
なにげない事が、熱のある夜に見る夢が、悪夢に変わることなど・・・
そう、よくあることだ。

「そういえば、痢煙さんが出てきたような・・・・ああ・・・
何故か身体がだるい・・・風邪をひいたかな・・・・ああ、ダルイ・・・」

 赤悪は、ベットの横のチェアに置いた腕時計を取り、時間を見た。
時計の針は、午前1時45分を過ぎたところだ。

帰宅したのが、夕刻の6時30分を過ぎた頃だった事を記憶している。
それから夕食もとらず、ベットに潜り寝ていたことになる。

両足を床につけ、ゆっくりと立ち上がる・・・

コメカミの辺りに、ビシと痛みが走る・・・

「つ・・う・・・」

そして、体はずっしりと重く、ダルイ・・・ケダルイ・・・
まったくと言っていいほど、疲れはとれていない。

ドサ・・・

重力に逆らうことなく、またもや、ベッドに倒れこむ。

天井が視界に入る。

暗いが白色の天井である。

「まっくらでも、白い天井だと、わかるものなんだなあ・・・」

静かな夜だ。

揺ら揺らと陰が踊っている。

光りと陰の交差。

まるで生きているものの、陰のように、それらは、自由に蠢いている。

これは、車のライトや街灯の明かりが、カーテンの隙間から滑り込んで、
幻想的な陰絵を、私に見せてくれているのだ。
そう、赤悪は、認識する。

「あの陰は、犬だ。犬に見える・・・あの陰は・・・」

そう、こうしているうちに、
だんだん、睡魔がおしよせてきた。
布団を手繰り寄せ、布団を身体にかける・・・

「あっ・・あれは痢煙さんに見える・・・かわいいなあ・・・」

「ん・・・なんだ・・・・嫌にリアルな陰だな・・・」

「・・・・え?」

ズシリ・・・

ズシリ・・・

ズシリ・・・

「な・・なんだ・・かっ、体の上に、なっ、何かが・・・乗ってくる・・・」

赤悪は、自分の体が動かないことに気がついた。

手も足も・・・動かない・・・金縛り・・・

声にならない声が、口からヒイヒイともれている。

しかし、逆に意識は、はっきりとしている。

ズシリ・・・

足元から何かが登ってくる・・・

布団が、その重みで沈むのがわかる。

ひとつ・・・

また、ひとつと沈む・・・

それは、確実に、赤悪の顔に近づいて来ている。
赤悪は、その迫る恐怖に耐えかねて、首を振ろうとするが、
動かない・・・

声も出ない・・・

恐怖が確実に忍び寄ってきいる。
『これは何かの間違いだ』と、言い聞かせるが

覚める夢も覚めない・・・

現実なのか・・・先の夢であって欲しい・・・

目があった。

顔だ・・・人の顔だ・・

それが・・・

睨んでいる。

睨んでいる。

血走った目で、自分を睨んでいる。

恐ろしい形相で、こちらを睨んでいる。

その顔は、赤悪の、胸元ぐらいに位置するところにいる。

確実にいる。

しかし、そいつの顔から、下が見えない。

見えないのではない。

無いのである・・・布団の重みもそう伝える・・・

そう、首だけなのだ・・・

その首は、ズルズルと足元から這い上がってきたのだ。

布団を歯で噛み、引き寄せて・・・

その首は、じっと、私を睨んでいる・・・

恐ろしい形相で。

震えがおこる。
ガクガクと身体が震える・・・

金縛りのはずだが、震えるのだ・・・この身体は・・・

歯がガチガチあたる。
ガチガチあたる・・・

だが、悲鳴はあげられないのだ。
声という声があげられない・・・

恐怖ゆえに動けないという事は、こういう事なのか・・・

その首は誰かに似ていた。
自分のよく知っている男だ。
軟弱で、媚びへつらって生きている軟弱な男。
相棒・・・そう呼べるのか・・・

「こっ、腰巾着・・・腰巾着!?』

赤悪の、部下にあたる男の首。

常に自分と行動してきた男の首。

その男が、自分の胸元にいる。

そいつの、眼からは、涙のようなドス黒い血が滴り落ち、

鼻からは、ねっとりとした、鼻水か脳味噌のエキスか判別できないほどの
湿気を帯びた息を吐きながら・・・
・・・それが、話しだす・・・その首が・・・

「浄無・・・・寂しいですよぉ・・・痛いよぉぉぉぉぉ・・・た・す・・」

ゴロン・・・ゴロン・・・ピタ・・・

「!ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!!!」

首は転げ落ち、赤悪の耳元に寄り添った・・・・
赤悪は、あまりもの恐怖で失禁し、そして・・・

気を失った・・・・

(空白)

とん・・・とん・・・

とん・・・とん・・・

まだ、意識が朦朧としている・・・

甘いゼリーのような夢を、見ているようだ。

とん・・・とん・・・

とん・・・とん・・・

「ん・・・・部屋の扉に、何か物が、あたっているのか?」

とん・・・とん・・・

「・・・気になるな・・風か?・窓でも開いてるのかな・・・」

赤悪は、目を覚ました・・・

じっとりと衣類が濡れている。生暖かさが外気に冷やされる・・・

布団もなんだか湿っている。

身体を起す・・・

ゴロンと何かが落ちた。

しかし、暗くてよく見えない。

すこし、足がフラついたが、壁に手をやり、この部屋の扉に向かう。

のそりと・・・

とん・・・とん・・・

とん・・・とん・・・

「くっ、いったいなんなんだ・・・」

赤悪は、手を伸ばし、ドアノブをもつ。

「おじさん・・・あけて・・・」

「!?グギュっ!!」

心臓が凍りそうになった。
驚いたので、つばを飲み違えた。つまり、気管支に入ったのだ。

この扉の向こう側から声がした。
赤悪は、確かに聞いた・・・確かに声がしたのだ。

「おじさん。あけてよ・・・そこに居るのでしょう・・・」

「!?!!あっ・・」

思考回路がおかしくなる。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・(耳鳴りの音)

何故、私の家に、少女がいるのだ。

少女?

何故。私は、この声主を、少女と認識する。

意識内に、少女のビジョンが強制的に侵入する・・・

汗が吹き出す・・・

こんな時間に・・・わ、私の家に少女がいる・・のか・・・

そっ・・・れは、考えられない・・考えられない事だ・・・

赤悪は、恐る恐る鍵穴から覗いた。

少女はいた・・・

足が見える・・・

細く可憐な・・・足・・なのか・・・

白色のシミーズを装った・・・

そして、鎖骨が・・み・・え・・る・・・

顔・・はっ!

赤悪は口を抑えた。

こみ上げる嘔吐を抑えて。

ひくひくと、己の腹が波打つ・・・
指と指との間から、息がヒューヒューと洩れる。
瞳孔が少し開いたような気がする。
玉のような汗が額を伝い、指と顔の皮膚の間に流れ込む・・・
耳鳴りがする・・嫌な耳鳴りが・・・
意識がうっすらと消えかけてゆく・・・
ダメだ・・・気を失えば・・・そうだ・・この扉は・・

開けてはならないと思った・・思えた・・・

今まで否定してきた事が、扉の向こう側にある。
この、何cmという隔たりの向こうに・・・
追い求めし彼岸の花が・・・咲いている・・・

少女は口を動かしていた。
クチュクチュと音を鳴らしながら・・・

そう、何かを、ほおばっていた。

鍵穴ごしに、少女の顔をみた瞬間に、赤悪は、恐怖の花に、
引き寄せられ、縛られていた・・・蔦が絡むがごとし・・・

その、哀願の眼をした少女の口は、おそろしく裂け、
中から鋭い歯が何本も見えている。
ギラリと・・・
その、口からこぼれ落ちる汁で、
口元は黒色に汚れ、ドロッと鈍く光っている。

粘液質な血、唾液と交じり合い、異様な音を鳴らしている。

私の耳鳴りをかき消すほどに・・・

クチュ・・・クチュ・・・クチュ

そして・・・骨を噛み砕いている。

コリ・・コリ・・

指・・・

指を噛み砕いている・・・

少女の口の中に含まれているのは、何本もの指だ。
まぎれも無く・・・人間の指だ。

いったい誰の・・・・

嫌なことが頭をよぎった。

・・・恐怖の花がゆっくりと咲きはじめる・・・

「こっ・・腰巾着・・・・・の・・ゆ・・・び・」

とん・・・とん・・・

「はやく、あけてよ・・・おじちゃん・・私を・・見捨てちゃうの?」

赤悪・・・身の毛がよだつ。
玉のような汗が、さっとひいてゆく・・・

・・・花に水をあげなくては・・・・

赤悪は、狂いだしそうな表情を浮かべ、必死にドアノブを回す。

扉が開かれるのを阻止しなくては!!

ガチャっ ガチャっ ガチャっ

「うっ、うぁあぁぁあああああああああああぁぁああああああっ〜!!」

ドン

ドン

ドン

扉が今にも壊れそうなほどの音を出した。

開けてはダメだ。そう、開けてはいけない。

開ければ食われてしまう。腰巾着と・・おな・じ・・

扉を抑える。必死で押さえる。
ドアノブを必死に押さえる・・・

扉がきしむ。

ギシギシギシ!!

その時、

ピュルルルル・・・

ピュルルルル・・・

ピュルルルル・・・

携帯電話の音が鳴った。
この状況に、不釣り合いな着信音・・・

「そっ、そうだ、電話に出れば・・・・しかし・・・手が・・・」

そう、携帯はベッドの横だ。

ピュルルルル・・・

ピュルル・・・ブツ・・・

電話は鳴り止んだ・・・・・・

携帯電話は、2度と鳴ることはなかった。

(空白)

10分ぐらい経っただろうか・・・

赤悪は必死に、扉を抑えていた。
手の平とドアノブが、まるで一体化したかのように
身体、手が固まっている・・・

いつしか・・・音が止ん・・で・・いる

「わ、私は、助かったのか・・・」

赤悪は安心した。
肩の力が抜けた・・・

しかし、何かが・・・おかしい・・・

おかしいのだ。

右手が・・・・

勝手に・・・動く。

その手には『厄』の文字が浮かんでいる・・・

赤悪は自分の手の異変に気がついた。
ようやく・・の事である・・・

一見、シミのように見えるが、確実に文字である。
忌々しい文字が、浮き出ている・・掻きキズと一緒に・・・

その手が勝手に動いて、ドアノブを回そうとしている。

ぎゅる・・ぎゅる・・

それを左手で必死に抑えようとするが、ものすごい力で右手は・・・

ドアノブを回す。

・・・花がまた・・咲きだす・・・

「あははははははは・・・」

笑い声がする。

少女の声ではない・・あの少女の声ではないのか?

鬼の声か・・・

化け物の声か・・・

いや、違う・・・

この声は、よく耳にした声だ!!

私の、よく、知っている・・・声・・・だ!!

「赤神っ!!」

赤神が、睨んでいるビジョンが一瞬、網膜に焼きついた。
焦げ付くビジョン!!

・・・花は咲き誇る・・・

「ぐあっつ!!」

その瞬間、右手に激痛が走る。

ドクドクドクドクブッシャー!!

血がもの凄い勢いで噴出していく。

グルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグル!!

右手が、自分の右手、ヒジから先が、グルグルと回転している!!

まるで、ゴムがネジれたかのように・・・
まるで、アニメのロボットのように・・・回る・・・

ねじれる・・・雑巾を絞ったかのように、腕が捩れ

ブッチッー!

鈍い音がして千切れ飛んだ。

「!!」

ものすごい激痛が走る。

扉がガチャリと音をたて、開いた。

ギギギ・・・

そこには少女の姿などない。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・(耳鳴りの音)

淫猥なモノ・・・が・・・いる・・・
性器を丸だしにした、牛のよう、熊のような・・・
とても大きな、大きな・・・化け物がいる。
角を生やした・・・鬼が・・・

そして、その黒く鈍く光る性器は・・・そそり立っている。
汁を垂らしながら・・・

「おっ、鬼なんて・・いる・いるはずが・・無い・・そ・・っ」

赤悪は、己が恐怖でいっぱいになるのを防ぐために

否定する。

しかし、赤悪が、否定する鬼は、ゆっくりと歩んでくる。
己の方に・・・

赤悪はもう腰から下に力が入らない。
ガクガクと脚たちは、アメリカンクラッカーのように膝を打ちならす・・・

逃げようとするが、足はめちゃくちゃに動くだけである。
なんとも情けない、みっともない姿である。

・・・恐怖の花は今や満開に咲き誇る・・・

ズルズルと鼻から鼻水を垂れ流し、顔は恐怖で歪んでいる。

・・・これじゃあ、まるで、まるで・・・
・腰・・巾着と・・同じ顔じゃ・・ない・・か・・

「だ・・ず・・げ・・・で・・」

赤悪は必死に逃げるが、その鬼は、地を跳び

逃げる赤悪の上に乗った。

そそり立つ鬼の、黒く岩のような男根。
その先から垂れる汁が、暖色のルームライトに照らされて、鈍く光る・・・

恐怖に歪められた赤悪の顔、
その顔の前に、魔気が溢れる男根がある・・・

「うっあああああああああああああああああああああああっ!!」

阿鼻叫喚。

地獄絵図。

赤悪は、鬼に犯された・・・

・・・・恐怖の花が散る・・・散り・・枯れる瞬間・・・

何度も・・・何度も・・・

嗚咽にまみれようが、おかまいなしに、その腕のようなモノが、
己の身体を貫いてゆく・・・

ゴン・・ゴン・・・ゴン・・・

赤悪の性器は食いちぎられ、
その屈辱は涙しても止まらない・・・

嗚咽があがる。ヒクヒクあがる。

赤悪の言葉は化け物には通じない。

ここから、逃げる方法はない。

性器が、己の身体を貫くたびに、赤悪は、心を壊していった。

残されたのは、自己の崩壊のみである。

そして、肉体の死。

しかし、鬼は、すんなり、彼を殺そうとはしなかった。

何度も何度も犯した。そう、何度も・・・

彼は夢から覚めないのである・・・この悪夢から・・・

延々と繰り返される、化け物、鬼との魔じわり。

「私が望んだ事?・・・」そう錯覚する・・・

ひとつ、またひとつ、と、赤悪の人間性が壊れてゆく・・・

この混じり合う、苦痛の中に生まれた愛欲の精液は、化け物になり、
そいつらもまた、赤悪を犯す。

赤悪は、苦痛に歪み、血を吐いた。
苦痛がつまった血を・・・

・・・花は枯れた・・・

血と精液と汚物が混じり、部屋はとてつもない匂いが・・・広がっている・・・
このおぞましき香りが、花・・の香り・・なのか・・・

眼は何処を見るともなく・・涙は枯れて・・道をつくる・・・

(空白)

 

朝日が部屋を照らしている。

赤悪 欲照はゆっくりと歩いている。
誰もいない道路を・・・

霧が微かにかかっている。

足はふらついている。

心は、完全に崩壊していた。

どうやって、あの化け物から逃げ出したのかもわからない。

夢のような・・・

霧が彼を優しく包み込む・・・

バタン・・・

赤悪欲照は、倒れ伏せた。

残った左手でアスファルトに爪を立て、前に進もうとする。

ギリ・・ギリ・・・

何故、進むのかはわからない。
何処へ向かうのか・・・それとも、まだ、逃げているのか・・・
このような姿になっても・・・

生に対する執着か…本能か・・・・

爪が割れ、残りの血が滲み出た。

霧に血の香りが乗る・・・

赤悪の顔は、チアノーゼが出ている・・否・・死に顔に近付いている・・・

衣類は汚物と精液と血液で汚れ、皮膚にまとわりついている。
何処から皮膚で、衣類かわからない・・・

「こ・・わ・・い・・・」

だが、もう、進むことはできなかった。

ピクン・・・

指がかろうじて動いた。

その指が何かにあたった。

コツ・・・

靴だ。

誰かがそこに立っている。

心が少し修復した・・・

助かる・・・

「た・・・す・・け・・て・・」

ガッツ・・・

「うっ!!」

赤悪は、足で転がされ、仰向けになった。

眼が霞む・・・
だが・・・ぼんやりと・・見えた・・・

太陽の光と、人影を・・・

太陽に、綺羅綺羅と輝く赤い髪。

「あ・・・あか・・きさま・・の・・さ・・し・・が・・・」

赤神は見下すように、赤悪を見ている。

「なんて・・・眼・・で・・私を・・見ていや・・がる・・・き・・さ・・ま・・』

赤悪は、思ったことを、全てしゃべることはできない。
呼吸音がゼーゼーと入り、解読はほとんどできない・・・

「それだけか・・・言うことは・・・」

赤い髪が風になびく。

「死ね・・・」

赤い髪が揺れ、その手から四角い物が落された。

クルクルとそれは、回転する・
・・赤悪の眼には、ゆっくりと、それが見えた・・・

・・・赤い花が咲く・・その花が、種から芽が出、葉を付け、蕾みが出来、
花が咲く・・・その瞬間・・・映像は途切れる・・・

「あっ・・花だ・・」

グシャ・・・

赤い赤いレンガが、赤悪の顔に直撃し、鈍い音を立てた。

とても、爽快な崩れ方だ。

赤悪欲照 ・・・永遠の眠り・・夢を見続ける・・・

 

 風が吹く。

遅咲きの桜の花が散り、赤い髪にまとわりついた。

春風が夏風に変わろうとしている。

皐月の風がもうすぐ訪れる。

今日も清清しい蒼天を見せてくれるはずだ。

そう思いながら、赤い髪は踵を返し、霧の中に消えてくので
あった。

殺しました!!! うわ〜〜
解説したいんですが、入り込む余地がないんです(笑)


つづく・・・