錐女の章 おろし!! #10 †恋と気付くまで・・・ †

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 長い赤髪と漆黒のマントが、闇が喰らいつく夜、ヒラヒラと舞う。

赤神 丞は息を切らしながらも、ビルとビルの狭間を跳ぶ・・・
そして何やら、ヒソヒソと言葉、祝詞を発す・・・

『大黒天の祝詞・・・』
なぜ「大黒天」なのか?
これにも元ネタがあって、丞がこの年の初詣に「大黒神社に行った」
と言ってたからなんですよね。


丞は、蒼い顔色をしている・・・
胸元で印を組み・・・そして、この祝詞を発している。

何のために?・・・

---東くだり。

痢煙・・・
彼女の魂は、今、東の方へ導かれていた。

霊山。

彼女は死んだのか・・・

いや、かろうじて、死んでいない。

彼女の魂は、錐で打ち抜かれはしたが、彼女の肉体の方は、
死というダメージを受けてはいない。

入れ物は無事なのだ。

そう、彼女は枕もとに、彼から受け取った、身代わり人形を置いていた。
いつもそばに・・・

赤神氏の人形。

あの女にコメカミを打ち抜かれたとき、この人形が身代わりとなったのだ。

グゥワッシャ〜ン・・・ン・・ン・・・

そう、あの時の音は、この人形の頭が吹き飛んだ音だったのだ・・・

しかし、この錐女の執念は恐ろしく強く、痢煙の魂を逃がすまいと、
長年鍛えた、たこ焼きの技術で、手際よく、錐の先で転がし、絡めとり、
そして魂だけを引き抜いた・・・

恐ろしい錐女なのに、たこ焼きって(笑)

赤神は胸を締め付けられる思いがした。

『どうして、わたしは、彼女のそばにいてあげられなかったんだ・・・』と。

しかし、悔いても遅い。
痢煙の魂は、あの忌々しい錐女によって、拉致され、
三途の川へと連れられて逝ったというではないか・・・

赤神は思う。

『また、わたしは失ってから後悔するのか・・・いや違う。
まだ失ってはいない。まだ間に合うはずだ!!
わたしの力で彼女をなんとしても救ってみせるぞ!!』

と・・・

赤神は妹、ダンナアに、心のうちを紐解き、

『生きて帰れるか解らない』と許しをこう。

赤神 丞の妹「ダンナア」
モデルは実際の、丞の家族です(笑)

妹ダンナアは、うなずきながら、

「わたしは、お兄様を愛しています。だからきっと無事に帰ってこれますわ。
わたしには、その確信があります。」

そう妹は、兄に力強く言った。

そして、なにやら書いた符を和紙に包み、

「きっと役にたつはず。肌身離さず、持っていてください。必ずですよ。時が来れば必要になります・・」

兄は涙をこらえ、ダンナアの頬にキスをし、彼女の目を見つめた・・・

妹の瞳の奥には、赤く燃え上がる、己のオーラが映っていた。

そして、月が雲から出た刹那、マントを翻し月光の中へと消えていく・・・のであった。


つづく・・・