鈎針婆の章 おろし!! #39†妖怪雨女三世†

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『シクシク・・・シクシク・・』

湿度が高い薄暗がりの部屋に独り女が泣いている。
畳の上には点々と雨漏りのシミがにじみ出ている。

ポツ、ポツ、ポツ・・という雨音がする度に、ジワッとその斑点が広がる。

また、1滴、2滴と天井からシミ出た雨水はポツリと落ち、
じっとりと女の着物を濡らした。

その白い着物は、ビッショリと、女の肌に吸い付いている。

ポツン・・ポツリ・・ポツ・・

薄暗い部屋、雨音だけが時を刻んでいた。

 

外は、霧雨。
冬の雨は、肌を切り裂いたかのように寒い。

雨漏りがするこのあばら家に、
夜な夜な女の啜り泣く声が聞こえ出したのは、随分前のことになる。

この、あばら家には、もう何十年と人が住んだ形跡はない。

そして、奇妙なことに、
このあばら屋は、つい何ヶ月か前に取り壊されたばかりである・・・
このあばら屋にも実在のモデルがあって、現在は取り壊されて空き地になってます。
でも、そのままゴミの山になってる。
場所は、「無限坂」のふもと付近、「幼蟲電車」が通る線路脇にあります。

そう、いつの夜だったであろうか・・
月夜の晩に、突如あばら家は現れ、女の啜り泣く声が聞こえ出したという。

そして、その屋敷の一角だけ不思議と雨が降り、
明け方には、屋敷もろとも消えているそうだ・・

付近に住む人々は、この怪異に、震え上がり、
恐怖におののいたのは言うまでもない。

しかし、人々は、ただの幻覚だと己に言い聞かせた。
そうしなければ、自我が崩壊するかもしれないほどの、

"恐怖"そのものであった。

人々は、怪異の意味"メッセージ"を確かめもせずに、
今夜のように冷えきった晩は、雨戸を固く閉ざす。

そう、己の心も閉ざし続けて・・・

 

『シクシク・・・シクシク・・口惜しいや・・・』

女は、袖口を歯で噛みしめ、鏡をジッと見つめている。

鏡は、ぼんやりと曇っているため、女の左目のみしか写し出していない。

いや写らないのか・・・

おぞましき女・・

女の背に、二つの青白い鬼火が揺れている。

女は、畳みの上に座し、鏡台をじっと見つめたまま、

己の長い髪を手で梳いている。

シクシクと泣く。

 

ザザザ・・ザザ・・ザザザザザ・・・

 

また雨脚が激しくなってきたようだ。

そう、この女が激しく泣けば泣くほどに雨脚は、激しくなり、
啜り泣けば泣くほど、寸分先をも覆う霧雨に変わってゆく・・

今夜は、一段と彼女の"こころの内"を感じてままならない雨だった。

ガタガタ・・雨戸が風にあおられた。

部屋は、薄暗いまま・・時折、通り過ぎる車のライトだけが、蒼く部屋を照らす。

蒼い光が尾を引いた・・・

 

ヒューヒュー・・ヒュー・・

風音にも似た音が女の口から溢れた。
チロチロと青白い焔が見え隠れする。

この女は、夭の類い。怪しげのモノ・・・

いわゆる雨女と古から呼ばれている妖怪。

その三代目にあたる 妖怪雨女三世。
「酸性雨」から、"三世"と付けたそうです。

女は、この時代に深く傷付き、胸を焦がしながら泣いているのだ。
果てしない時の中を・・・

この雨女三世の母、つまり二世は、キノコ雲が立ち昇った日に消滅した。

それは、50年以上も前の話である。

しかし、彼女にとっては・・・

そう、ひとり取り残されたこの娘が、
この国に恵みの雨をもたらしてくれているのだ。

雨、一粒にどうのような思いが込められているのか知る由もない。

『ああ・・お母様・・わたしの黒髪にもいよいよ、"あの"徴候が出てきたようですわ・・・
ああ・・わたしの黒髪が・・お母様のように・・わたしも・・のでしょうか・・』

濡れたような、まっ黒な髪を持つ女。

その美しい髪が、だんだんと醜く乾き始めている・・・

この雨には、我々、社会の毒が蔓延している。

時代の毒、文化の毒、化学の毒、争いの毒、老人達の毒、男の毒、女の毒、

そして子供たちの毒・・・

毒は、すぐさま雨女の身体を蝕んでゆく。

"哀"のみで形成されていたはずの雨女の心に、恨みの念が広がってゆく・・・

これは、雨女であって雨女では無くなる徴候である。

黒い髪。

その毛先は、引き裂かれたように割れ、茶褐色に色素が抜けた・・

彼女は、今夜も泣くのである・・永遠と思われたものの終わりを嘆いて・・

 

がたり・・・

女は、突如立ち上がり、窓枠にするりと青白い脚をかけ、

バッと外へと飛び立った。

真っ白な・・真っ白な霧雨の中へ・・・

 

あばら家は、霧に包まれ、もう、我々の目には、見えない・・

己の美しさが枯れ、身の内から出た恨みの焔は、

もう雨で消すことは出来ないでいる・・・

 

ぐわっしゃーん。

----------------------------------------------Mail †

『恐怖手紙(妖怪メール対応)』

このメールを読むと寿命が100日縮まる。
週にランダムに何通か送られる。
このメールは必ず読んでしまうようになっている。
久しぶりに来たな、恐怖メール。

●空怪が所有する書物『奇々怪々』に御伽婆に関する項目を見つけた。
 件の化け物がどういうものか今のうちに知っておくと良いだろう・・

-化け物が来る!! 御伽婆の怪-

パソコンの画面をじっと見つめる・・・わたし・・・
暗い部屋にモニタの灯りだけが、わたしの顔を照らす・・・
ジジジジ・・・
ただ、機械音のみが、この部屋に、微かに聞こえる夜、窓はかたく閉ざされ
外気の流れは遮断されている・・・はずなのに・・・
わたしの・・首筋に、時折、生暖かい風が吹く・・・
しかし、決して・振り向いてはイケナイ・・・きっとそこには、御伽婆がいるから・・
〜〜
御伽婆は日中、ダンボールの隙間、つまりナミナミになっている所に、身を隠している。
夜になるとそのナミナミからスーっと姿を現す。
そして、お湯がはってありそうな民家に忍び込み、湯を貰う。
これを『残り湯もらい』と云い、深夜、誰も居ないはずの風呂場から、
水の波立つ音や、洗面器がぶつかる音を聞くことがあるが、
この地域では、全て御伽婆の仕業だと言われている。

ゆえに、昔の人々は、御伽婆が現われる丑三刻に入浴をすることを禁忌とした。
そんな話し、聞いた事ないで(笑)
それは、御伽婆の怒りに触れることを、とても恐れたのであろう。
もし、御伽婆の入浴タイムにバッティングすれば、その者は、恐ろしい目にあうと言われている。
シャンプー時にうなじの辺りを舐められたり、湯舟に浸かっていると、目の前に現われ、
口に含んだ湯を吐きかけられたり、裸のまま瞬間移動させられ、気がつけば、知らぬ町にほっぽり出されるとか・・・
そして最後には、とてつもない湯当たりをしてしまい、命を亡くすとも云われている。

御伽婆の外見は、身の丈140センチ程度、頭が異様に大きく、手も非常に長い。足は手に比べると、極端に短いという。
なんともバランスの悪い外見をしている。

一際目立つのが、その異様に大きい頭に、白いガーゼをグルグルに巻いているところだ。
それって昔、朝にs嬢と一緒に見た、変な新聞配達員のおばちゃんがモデルちゃうん?(笑)
頭にガーゼぐるぐる巻きにして、むっちゃデカい頭になってて、顔が分からんかった。

そう、銭湯通いの女のような色気・・・

それはない・・

なぜなら、顔は松の表皮のごとく皺くちゃで、ゴツゴツしている。
そして、その深い陰影に鋭い眼光をもった眼が、爛々と輝いているという。

〜寒い寒い夜ほど、御伽婆が現われる〜

パソコンのキーボード打つ手が凍るような夜には、必ずといっていいほど御伽婆は湯を貰いに来る。

たとえ、御伽婆の刻限に入浴しなくても、そんな時間に起きていたりすると、
湯上がりで、ホクホクした御伽婆に、悪戯に合うこともママだ。

〜御伽婆はの名前の由来〜
童におとぎ話を聞かせる頃、この婆は本の隙間から現われ、湯舟に忍び込む奇怪な婆有り。
これを、御伽婆と呼ぶ。
このことから昔は、ダンボールの隙間ではなく本の隙間、ページとページの間に居たらしい。

御伽婆が住む本は何故か、おとぎ話の本と決まっていた・・・
その事から、この妖怪を御伽婆と呼ぶのかもしれない。しかし未だ謎である・・・

〜対御伽婆〜
・深夜0時から3時までの、時間に入浴をしない事。これは、御伽婆の入浴タイムと重なるため。
・入浴剤は柚子は危険、御伽婆を招くことになる。
なるべく、洋物の香り、ラベンダーなどを使用すると、御伽婆は現れない。
しかし、入浴剤には別の化け物、妖怪を招く危険性があるので、使用時には注意が必要である。

■痛心販売(通信販売)

◇"霊婦捨手餌刺怨 痛!!痩型"(うす型)
 新作ソフト続出!
 新感覚、転送装置を用いたゲームの紹介です。
 本体から、あなたを現実の『場所』に転送し、
 よりリアルなゲームをお楽しみできます。
 転送される場所は、ゲームソフトによって異なります。

◇メダル切れソレッて スリ!?
 いかに客、従業員に見つからず、温泉ワールドの施設に潜入できるか!!
 シリーズ最高傑作!!
 温泉ブームの時代、まだ施設は女湯と男湯に別れたままだった。(当たり前)
 痴漢撲滅運動が強くなるなか、君は今回のミッションを完遂しなければならない。

 任務は・・・最愛のボス(缶コーヒー)を飲むこと・・・
 元ネタは「メタルギアソリッド・3」ですね(笑)
 このゲームのミッションは、「最愛のボスを倒す」事らしいです。
 ボスを倒すためのゲームが、ボス「缶コーヒー」を飲むゲームに変わってるよ(笑)

 緑生い茂るジャングル風呂、世界の湯が集まるこの巨大温泉施設で極限の闘いが始まる!!
 各所に設置された自動販売機の飲み物、全て飲みほせ!!
 男湯はもちろん、ロッカールーム、プール、売店、そして究極の女湯へ。
 だが、決して人に見つかってはならない。
 ゆくてを阻む、客、従業員。女、子供。やつらのコスチュームを盗め!
 時には自販機補充の従業員のコスチューム、時にはバスタオルのみで湯に潜ることも!
 カモフラージュで敵の目をあざむき、極秘任務を遂行せよ。
 金も、服も、鍵も、タオルも全て現地で徴収せよ!
 捨てる素ゲーム(かくれん棒)の原点にして最高峰!
  「メタルギアソリッド・3」で出てくる「ステルス迷彩」というアイテムが元ネタ。
 その迷彩を着てると透明になれて、敵に見つからないんですよ。

 勃起してはならない究極の瞬間。君はカモフラージュし続ける事が出来るのか!?

 *転送装置を使用したリアルゲーム。
 逮捕される危険性がありますので、真剣に行ってください。

◇うっぷんミュージック
 日頃のうっぷんをはらせ!!
 モードは、父、母、先生、煮え切れない彼氏、姉、兄、妹、弟、友人などなど。
 設定自由。
 あなた思考回路に直結!
 やつらの嫌みや小言にもう付き合ってられない!!
 うっぷん晴らせ!!
 そう!タイミングよく反論せよ!
 『何よ!中出ししたのは、あんたでしょ!生理来ないからってグチグチウダウダ言うな!』
 『どこ見てんのよ!このエロおやじ!あんたの数学で教える数式は、オギノ式か!!』
 うっぷんたまって脱プンするな!!あなたの健康のために・・・
 元ネタは「ポップン・ミュージック」
 先日、昔からの人形首のユーザー様よりリクエストがあったので、商品化されたものと
 思われます。

◇ナイトハザード アウト!ブレーキ!!
 深夜、山道。
 急なカーブの数々。
 あなたの車は、カーブを曲がりきれずガードレールに突っ込んだ。
 命からがら車から出てはみたものの、辺りには何も無い。
 あなたはひとり。誰もいない。電話もない。
 津々と外気は冷えてゆく・・このままでは風邪・・いや、凍死だろう。
 ライトはつけられない。壊れている。
 ハザードだけが、チカチカと点滅を繰り返している。
 それは、まるで、あなたの命のともしび・・
 辺りはまっくらで何も見えない・・はたして助けは来るのだろうか・・
 時間はあまりない・・そう、あなたのお腹のあたりから血が滲みでていた。

 究極のヘルプミーゲーム!!

 ここから崖下にある交通量の多い道路に向かうか!
 それとも、このまま、ここに留まり、猛スピード走り去る車を止めるのか!!
 あいにくあなたは黒い服を着ている。
 アウト!!ブレーキ!遅かった!・・そうならない事を祈って・・・
 元ネタは「バイオハザード・アウトブレイク」
 アウト!ブレーキ!って(笑)

 よい人生を・・・

----------------------------------------------Mail †

つづく・・・