鈎針婆の章 おろし!! #36 †月下美人†

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 鎌の刃が振り落とされた。
ガギっと鈍い音がする。
鎌は、柄のところまでスッポリと、
まるで車体に吸いこまれたかのように突き刺さっている。

車の天井を突き破り、助手席の女の額に、
鎌の刃は、刺さっている。

鎌の刃を伝って、ポタポタと血が、
その女のスカートを淫らに汚している。

その横に座る男は、つまり運転手は、恐怖のあまり理性を無くしている・・
いや、あまりの恐怖で、周囲、隣の席だが、
そこで起こったことに反応できないでいる。
そのような精神状態に陥っている・・・といった具合だ・・・

運転手の表情は、恐怖のあまり青白い。
唇の端が引きっているので、笑っているようにも見える。

空怪は、走っている。
人間を超えたスピードで走り、その車を追う。

車上には、あの化物・・空缶娘がいる・・・

空怪が探している化物が、今や眼と鼻の先なのだ。

猛スピードで蛇行しながら走る車に、そいつは、居る。
平然と車上に乗り、大鎌を車に突き刺し、獲物を捕らえている。

まさしく空缶娘と思われる化物が・・・

チラリと空怪の表情を伺うかのように顔を向けた・・・

それに対して、空怪は、ニコリと微笑むが、その顔もすぐに戻り
車内の様子を見た。

割れた助手席の窓・・そこから中の様子を容易に見ることが出来る。
そのぐらい空怪は、車に接近して並走している。

空缶娘が、これを見ろといわんばかりに、鎌の柄をスルスルと引いた。

その刃の先には、獲物がかかっている。
大きな獲物だ・・人間という大きな獲物だ・・
茶髪の長い髪、年は十代後半、顔は、厚い化粧で素顔をとどめておらず、
みるからに性根悪そうな女であった。

いや、女と言うよりも、まだ少女である。

大人の女性を装ってはいるが、身体は、まだ女として熟してはおらず、
どこか青臭さが残っている。

その少女の額に、鎌の刃が深々と突き刺さっている。

ドクドクと眉間から血を流し、その少女の両目は、中央に寄っている。
眼球は、垂れ落ちる血と、内部からの血で、真っ赤になり、
血の涙が頬を流れ、痕を残している。

口は、まるで俎板の上の鯉のようにパクパクと開閉し、
その口の端には、粘着質な血の泡がブツブツと割れては、消え、
割れては、消えていた・・・

まだ、完全には、死んでいないようである。
心の鼓動は、微かだがトクトクと音を鳴らしている。

助手席の女が、そのような最悪な状態だと言うのに、
我が命大事と思うが故にか?・・無我夢中で車を走らす男・・・

車は、蛇行しながらも、猛スピードで夜の道を暴走している。
時には、停車中の車にぶつかったり、
駐車禁止の赤いコーンを跳ねたりしながらも、
この悪夢から逃れたい一心で、車を走らせている・・・

そう、運転手の男は、この化け物から、いや、この世界から、
一刻も早く逃れたいのだ。
ただそれだけの思考しか、彼の頭にはない。
もはや、彼の思考回路は、その域までにも達しようとしていた。

現実逃避・・・

今、自分の車上に化物が乗っており、
隣の女を、大鎌にかけたことなど、
彼の『現実』には、『無い』という事である。

・・今までの人生では・・考えられない・・
一生・・『現実』には、起こりえない事なの(はず)だから・・
仕方が無いと言えば・・それまでなのだが・・

あまりにもの残酷・・恐怖・・夢なら覚めてほしい・・

しかし無情にも、夢は、覚めることはないのである・・
これは、現実『おろし』であるから・・・

空缶娘は、その女、口をパクパク開閉する女の顔を覗きこむようにしている。
そう、ズルリと車内にあった『首』を、車外に出したのである。

左手一本の力で・・・

その左手に持つ鎌は、深々と女の額に突き刺さっており、
決して抜けることはない。

車体は、大鎌を突き刺した時に、大きく裂け、
そして、女の首を車内から引きずり上げた時に、大きく穴は、広がった。
その穴は、女をムリヤリ引きずり出すたびに大きくなっていった・・・

今や女の腹部の辺りまで車上に出ている。
まるでマンホールから、上半身が出ているようなものだ。

女の身体は、無理矢理引っ張り出されたために、
ササクレだった鉄に、皮膚がそげ落ち、赤い血がタラタラと流れている。
髪の毛も肌も血でべっとりだ。

その削げた肉と茶髪の髪が、ササクレに引っかかって、
風を受けている。

フウ・・・ウ・・
夜の風に、甘い血の香りが運ばれる・・

空怪は、遅れまいと、この車と同じスピードで並走し、
空缶娘の行動を食い入るようにして見つめている。

汗は、出ず息もあがっていない。恐ろしい走りである。

それをチラチラと見る空缶娘は、
右手の人差し指を頭より高い位置に静止させた。

シュル・・シュル・・シュル・・

何やら空気抵抗の音がする。

人差指を軸とし、何かが勢い良く回転していく・・

シュル・・シュル・・シュルルル・・ルル・・

ギラリと月光を反射させながら、それは回る。

冷たい金属の輝き。

そう鋏である。

まるで西部劇の決闘場面なんかでよくやる
あの銃を回転させている仕草。

そのような感じで
空缶娘は、器用にグルグル回している。

銃では無く、鋏ではあるが・・

シュルルルルルルルルルルル・・

 回転音が、増々早くなってゆく。

シュバッ!

その瞬間、鋏が瞬時に持ちかえられ(普通に紙を切るような持ち方)、

殺された女、助手席の女の口に、銀色の刃が滑り込む。

シュグッ!!

鋏は、少し半開きのまま、獲物の口に突き刺さった。

そして一瞬の静止(間)があり、
次の瞬間、大量の血が、まるで噴水のように
走る車から飛び散った。

ジュババババババッ!

空怪は、横目でそれを見る。
霧吹きで吹かれたような血の霧が、顔にかかる。
直視する事ができない・・
霧状なので、体温の暖かさは、一瞬のうちに消え、
冷たさが空怪の顔に広がった。

空缶娘は、その女の口に、
鋏を突っ込み、その刃で舌をはさみ切るような感じに滑りこませたのだ。

舌は、根元から切り取られ大量の血がほとばしった。

頬の辺りから耳元まで裂け、そこから大量の血が噴き出したのだ。

恐ろしいことに、その鋏は、両刃の鋏であった。

通常、鋏には、内側のみに刃がある。
この空缶娘の所有する鋏は、外側にも刃が仕込まれている。
切れ味は、日本刀を思わせるほどの切れ味。
閉じた状態でもこの鋏は、刀、短刀として十分に使用できるのだ。

女の口からこれほどまで血が出ることは、心臓がまだ動いているのか・・
だが、だんだんと血の勢いは弱まり、顔色が青白くなってゆく・・
鼓動は、止まったようだ・・・

生暖かい血が外気にふれ、モヤモヤと蒸気があがる。
尾を引いて流れてゆく・・車は、まだ走っている・・

その蒸気にまみれ、何か白いものが見えた。

魂・・

人の魂だ。

その魂を見て、空缶娘の口端がツンとつり上がる。

喜んでいるのだ・・

空缶娘は、その魂を捕らえようと牙を立てる。

「空缶娘の被る面は、口の部分が覆われていない
時代劇で使われる『めかづら』みたいなものだ・な・・」

と空怪は、独り言のように漏らした。

『奇奇怪怪』帳に掲載されている図画とは大分違う容姿だが、
その牙は書かれていたとおりに、鮫の歯のようにびっしりと生え揃っていた。

その歯が魂に噛み付いていた。

歯が魂に食い込んでいる・・そのように見える。
これは、空怪が人魂を見る事ができる『眼』をしているからである。
もちろん、赤神もこの『眼』をしている。
あの痢煙は・・可愛そうだが・・その『眼』をしているのだが、
彼女の脳みそが、それをどう『処理』しているのかは、痛い事に・・
それは、謎である・・
なんて失礼な(笑)

空怪の眼には、その女の魂が、
まるでマシュマロのような弾力性を持っているかのように映った。

「うぎゃあああああああああああああああああ!!」

息絶えたはずの女の悲痛の叫びが、空怪の身体、心を突き抜ける!!
あまりの強烈な叫び声・・これは、魂の叫びである。
女の口、死体から発した声ではない・・
魂が叫んでいいるのだ!

死にたくないとも言っている!

ごめんなさいと謝ってもいる!

この叫びの中に、女の感情が何百何千の声となって、
空怪の身体を通り過ぎていった・・・

ヒュン・・・なんとも悲しい音が空怪の心に残響する・・

その音とともに叫びが消えた・・

魂は、空缶娘の口へと吸い込まれていった・・・

「あの・・口の中に・・魂を入れる瓶があるのか・・」

空怪は、眼を細めながら言った。

ぶん!

鋏を振る。
刃にこびり付いた血が飛び散った。
時代劇などで見る血ぶりだ。
黒く濁った血のりがある程度とれ、鈍く光る刃が見える。

そして、左手に持つ鎌をも勢い良く振りかぶった。

血ぶりか!
いや!刃には、女の身体が突き刺さっている!!

空缶娘は、自分の身体の2倍ほどある獲物がついた鎌を振りかぶったのだ・・

グン!!!

そして、鎌に刺さった魂の抜け殻を、空缶娘の後方に振り落とした。

ゴン・・ドン・ドガ・・・ドサ・・ドサ・・ドサドサ・・

猛スピードの車から、落ちた肉体は、まるでゴム鞠のように何度も跳ねた。

女の身体は、黒く冷たいアスファルトに身を削ぎ落とされ、
襤褸雑巾のように夜の闇に消えて行った。

「あの死体には・・もう・・魂はない・・」

空怪は、振り向きながら、心の中でお経を唱えていた。

『軟妙法連草・・・・』

助手席の女の姿が消えた・・
それでも男は、アクセルを踏み続ける・・
ガチガチと歯がなっている・・止まらない・・
眼は、普段より大きく見開き、血走っている・・
恐怖で声も出なかったが・・だんだんと・・声が出始めた・・
だが・・それは・・笑いにも似た『ヒッヒ・・』という声だった・・

ハンドルを勢い良くまわす・だが、上のモノは、落ちない・・

もうあまり意識が働いていない・・身体と心が離れた感じだ・・

「俺は、生きているのか・・ハンドルを持っている・・走っている・・」

俺の心は、そう考えている・・そう言っている・・
男は、念仏のように唱え続けた・・

夜の街を猛スピードで車は、走る。

空怪も全速力で走る。
額に、フツフツと汗が出始めたようだ・・

「ここで、逃すかよ・・」
空怪は、空缶娘の動向を見ながらも、前方を確認し、
この車に並走をする。
幾度も対向車の上を飛び越えもした・・電柱をも破壊した。

この走る空怪を空缶娘は、あまり警戒はしていない・・
人間が走っている・・と、そのぐらいにしか思っていないようだ・・
空缶娘は、ディナーの邪魔にならなければ、
別に関係ないわ・・と、言ったような顔をしている。

満足そうに空缶娘は、舌を出し、身体についた血液を舐めている。
まるで、猫の毛づくろいだ。

!?

フイに、空缶娘は、前方を見た。

そして、つぎの瞬間、空高く舞い上がった。

蹴ったのだ。

車を。

垂直跳びだ。

「なっ!」

空怪も、すかさず蹴った。
アスファルトを。
それと同時に物凄い音を立てて、火柱が上がる!!

グシャッドガーン!!

ボゴーン!!

車は、ガソリンスタンドに突っ込んだのだ。
積まれていたドラムカンがふっ飛ぶ!
一瞬にして炎が大蛇のごとくうねる!!
黒煙が上がる!

ものすごい爆発だ・・

空怪は、空を跳んでいる。
人間を超えた跳躍力、マンションでいうと、今は、高さ7階ぐらい、
それをまだ超えてゆく・・

下方より、ものすごい早さで、ドラム缶が、
空怪の横をすり抜けて行った・・

「くっ!危なかった!」

熱気が上昇気流に乗ってやってきた。

チリチリと肌を焦す感じがする。
空怪は、上空の空缶娘との距離を眼で計って・・・

「このままでは!管(くだ)を使わしてもらう!!」

と叫んだ!

シュッ!!シュッ!シュルル!!

空怪の手、袖口から、何本もの管(チューブ)が放出された!

上空の空缶娘の足に絡みつく!!

その管(チューブ)の先には、針が仕込まれている。

グサ!グサ!グサ!

空缶娘の足に何本かの針が突き刺さる。
まるで管が生きている蛇のごとく、空缶娘の足に絡まってゆく。
その何本かの管は、空缶娘にかわされ、だらしなく空怪の腕から
下方に垂れ下がる。
しかし、また、その管に命が吹き込まれるかのように勢いが出て、
上空の空缶娘を襲う。

例えるならメドゥーサの頭・・あの蛇の様に・・
ニョロニョロと動く・・

空怪は、空缶娘に牽引されるようなかたちで、遥か上空に跳ぶ・・
下方の熱はもうここまでは届いてこない・・

「この機を逃すかよ!」

空怪は吠えた!

一本の管が蛇のごとく動きで、空き缶娘を狙う!

シュバッ!

空缶娘が首を横にし、管の針をかわした!

パッ!

しかし、空缶娘の面が割れた!

空怪がにやりと笑う!

その横を二つに割れた仮面が、落ちてゆく・・

空中を舞う二つの陰。

空怪の顔は、笑みにあふれている。

月光に照らされた、空缶娘の顔は・・
なんとも見事な顔つき・・
この世のものとは思えぬほどの、白くて美しい顔。

幼い人相ながらにも、男を惑わせる色がある。

冷たい眼つきが、また愛らしい・・
細い眼だ・・
白い頬には、先ほどの女の血が艶かしく光っている・・

面が割れて、あらわになった顔・・
その娘の表情は、氷の如く冷たく、空怪の目には映ったが・・

空怪の理性を吹っ飛ばすには、十分であった。

「これぞ、月下美人。そなたに惚れもうしたぞ・・・」

その瞬間、空缶娘の持つ鎌が、己の足に絡まる管(チューブ)を切り落とし、
無表情に空怪の顔を蹴った・・

一段と高く跳んだ・・空缶娘
下方から、それを見つめる空怪・・

「良い。良い。これぞ月夜のランデブーだ!!」

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恐怖手紙

このメールを読むと寿命が100日縮まる。
そして癖になる・・・

●ある日の昼食会・・あの山椒事件の詳細を語る
実話です(笑)

とある店・・うなぎ屋での出来事。
店内は、和の雰囲気が漂う・・清流のような世界。
和といっても、影のある店ではない・・
廊下の奥にある座敷に、痢煙たちは、案内された。
座敷から伺える、日本庭園は、別の美しい小宇宙を創りあげている。
数年前のある日。
名古屋に、痢煙と、空怪のモデルの「くうちゃん」、そして黒死(こくし)が
一緒に遊びに行った時のこと。
当時名古屋に居たアント・アンド・ローゼスの案内で、名古屋名物「ひつまぶし」
で有名な、うなぎ料理のお店に連れて行ってもらったんです。

この日の集まりは、あるイベントの合間に行われた。
そのイベントの主催者・・黒死。
デザイナーである。
『UNDER†BELLY(暗黒面という意)』をコンセプトにした服。
ブランドである。
実際の黒死は、Webデザイナーです。

黒死のデザインは、暗黒好きな人たちにこよなく愛されている。
痢煙もまた、彼女の服を愛している。

彼女・・黒死は、瞬時に人の骨格、体型を把握する目を持っている。
そう採寸というものを必要としないのである。
その発注から、完成までの驚異的なスピードは、
彼女にゆるやかな時間を過ごす余裕を与えてくれるのだ・・

だから、彼女を知らない人は、誰も彼女を、デザイナーだとは思わない。
まして、服の製作までしている事は、誰も想像しないであろう。

サイドビジネスにはじめたcafe『BELLY's †Cafe』が、
近所の人は、彼女の職業だと思っている・・
入り口にカフェがあり、奥に入るとアトリエがあるお店らしいです。
この黒死のお店にも、モデルが存在します。

まあ、彼女も人間である。
布を裁断し、縫うという作業は、それなりには、かかる・・

しかしまあ、型紙を起こす作業などを必要としていない分は、
他の人より作業は、早いであろう。

しかも失敗がない・・という・・
これが驚異的なスピードの根源だと思われる。

まさに神業である・・"暗黒の織姫"とも称されるぐらいだ・・

あの赤神の服も、黒死がデザインし、製作したのだ。

彼の場合は、例外商品らしい・・耐 化け物用・・これは、もはや服ではない・・

黒死は、赤神の細かい注文に、『ああ!何それ!無理!』とか、
何かと一言を付け加え、引き受ける。

それでも、その完成された服は、赤神の注文通りである。

今回の席に、赤神の姿はない。
ちょうど人形制作の仕事が入り、"義眼"と"人髪"を買いに出かけたのだ。

前もって、黒死に誘われていたが、どうしても都合があわなかったらしい。

黒死の友人、ダンナアの姿もそこにはない。

彼女もまた、自ら経営する店の商品の搬入日と重なったらしい。

「ごめんなさいね。どうしても、お取り寄せ先の方とお会いしなくてはならなくて・・
お詫びに、お姉様には、例のアロマキャンドルをお渡ししますわ。」

ダンナアは、黒死の事を、「お姉様」と呼ぶのだ。

黒死は、それを厭とは思っていない。

いつもそれを言われると、笑ってしまう。

『お姉さま』とダンナアは、呼ぶが、他者から見れば、どっちが年上かとは、判断できない。

ダンナアの方が、身長が高いからである。

黒死もまた、美しい女性である。

ダンナアとはタイプが違った女性像である。

黒い髪、活動的なウルフカットが印象的。
黒いスーツに身を纏う女。

中性的なイメージ。ボーイッシュとまではゆかないが・・

女の中に男らしさがある。そんな印象でる。

声も低音で美声で艶がある。

そんな黒死とダンナアは、古くからの友人である。

ダンナアに、『キャンドル等を取り扱うショップでも開いたらどう?』
と勧めたのも、黒死だった。

昔、ダンナアが『私、饅頭屋でも始めようかしら なんで饅頭屋やねん(笑)』と、
黒死に話したおりに、彼女に、輸入雑貨という道を勧めたのだ。

もちろん、ダンナアが英国生まれというのも考慮している。

そして、ダンナアは、黒死の経営するcafeのお向かいに店を出したのだ。


少し淋しそうに、庭園を見ている黒死。

「今日は、赤神殿は、来ていないのですか?」

と丁寧な声で、黒死は、我に返った・・

「ええ・・今日は、お仕事の方が忙しいみたいで・・」

黒死は、一瞬どちらの"赤神"なのか・・戸惑ったが・・

よくよく考えれば、二人とも仕事には違いない・・あっている・・

「そうですか・・それは、残念ですね・・」

問いかけたのは、空怪。僧侶である。

彼もまた、黒死の友人である。

精進料理屋を営んでいると聞いた。

以前、コラムを書くおりに知り会った。

今、彼の着ている袈裟や僧衣も、もちろん黒死がデザインしたものである。

しかしまあ、うなぎ屋に僧侶がいるというのも滑稽ではあるが・・

生臭坊主なんとやら・・

そしてもう一人・・滑稽な男、先ほどから、何も語らず、
痢煙を見ている金色に輝く長い髪の男。

雪のように白いカウボーイファッション。

白い皮ジャンの袖についてるフリンジが、異様に棚引いている。

それもまた、滑稽といえば滑稽であろう・・場所が場所だけに・・

そんな滑稽な福ではあるが、これもまた黒死がデザインしたものである。
アントの注文通りの作品である、
痢煙の友人で、s嬢の友人でもある「ありくん」という人物がモデル。
随分前にも少し登場しています。
実際には、そんな格好してないよ(笑)

そんな和に似つかわしくない男、室内でもカウボーイハットは、取らない。

やはり風習が違うのだろう・・か・・

そのカウボーイハットの影から、きらびやかに光る青い眼。

痢煙を見ている。

ピアニスト アント アンド ローゼス。
彼の職と名前である。ふざけた名前だ。

和名も持っている。

蟻薔薇(あり薔薇)・・・そのままだ・・

名古屋弁を覚えた?ラーメン好きのアメリカ人。

滑稽すぎる・・

しかし、彼の奏でるピアノは、
その滑稽な印象をぬぐい去るに十分である。

ありくん、ピアノ上手いんですよ〜
そして念のため、ありくんは日本人です(笑)


彼の指は、美しい旋律を奏でる。
彼の音色は、人の心を酔わせる甘い音。

黒死の店で、彼の演奏を聴く事ができる。
専属ではないが(ある意味専属だが)、年に何度か、彼の演奏を聴きながら
お茶を楽しむ事ができるのだ。

クラッシックから、ジャズ、何でもこなす天才。

神が奏でるピアノソロ・・

彼の奏でる音は、星の輝きのように優しく聴く者の心を包み込む・・

その空間が、プラネタリウム、いや、星雲広がる宇宙に変貌する・・

痢煙も、何度か演奏を聴き、心を酔わした事がある。

「ハニー・・・」
ついに・・アントが口を開いた。

痢煙は、聞いていない。
今、運ばれた『ひつまぶし』に夢中である。

黒死は、それを見て、クスっと笑った。
"神の称号"を得たアントですら、痢煙には、形なしである。

つまんなそうに、アントは、帽子のつばを下げた・・・
照れているのだ・・

黒死は、アントに
「あんた、誰にでもそんな事いったって効きはしないわよ。」

アントは、はにかみながら、

「黒死ニモ効カ無インジャア・・ミーハ、メゲテシマウみゃあ・・」

間違った名古屋弁でポツリと言った。

「痢煙さん、使わないのですか?山椒などは・・」

空怪は、痢煙に薬味を勧めた。

「ええ〜山椒なんか入れるのお?『 ひ ま つ ぶ し』 にい〜。(正しくは『ひつまぶし』)
まあ、山椒も、うなぎも、ヌルヌルした生き物だから、一緒か〜入れるう!入れるう!」
わたくし痢煙、ずっと「ひまつぶし」だと思ってたんですが、「ひつまぶし」だったんですね・・・
痢煙は、山椒というものは、サンショウウオの身を乾燥させ、削ったものだと思っていた。
はいはい、それも間違ってましたとも(笑)
天然記念物のサンショウウオの粉を食べるだなんて、なんて酷い調味料なんやろう
とか思ってましたもん(笑)いや、数年前の話しですよ!

黒死、空怪は、絶句し、爆笑したのは言うまでもない・・
ただ、外人のアントと、当の本人の痢煙は、『何がおかしいの?』という顔で、
つられて笑っていたのであった・・

ある・・ウナギ屋での出来事であった・・

■痛心販売(通信販売)
◇霊婦捨手餌刺怨 痛!! 新作ソフト続出!
 新感覚、転送装置を用いたゲームの紹介です。
 本体から、あなたを現実の『場所』に転送し、
 よりリアルなゲームをお楽しみできます。
 転送される場所は、ゲームソフトによって異なります。
 また出た!「レイプステーション 2」だからそのネーミング、やばいって(爆笑)

◇メダル切れソレッて!? 痛
 いかに社員に見つからず、大企業のオフィスビルに潜入し、
 全階に設置された自動販売機のカップコーヒーを統べて購入し飲めるか?と言った
 恐ろしいゲーム。コインを入れて、カップが落ち、コーヒーが注がれる間
 貴方の心拍数は、超MAX。誰にも見つかってはいけない・・
 最終、社長室のソファーに座ってコーヒーを飲む事ができるか!
 *転送装置を使用したリアルゲームなので、
 逮捕される危険性がありますので、真剣に行ってください。
 元ネタは「メタルギアソリッド 2」
 これ、侵入した工作員が、敵に見つからないように任務を遂行していくゲームなんですよね。
 それなのに、自動販売機のカップコーヒーを飲むゲームになってしまった(笑)
 「メダル切れそれって」って(笑)

◇パンツはフロント
 ホテルの部屋にキーを忘れたまま、鍵をロックしてしまった男。
 しかもパンツ一丁。その格好で、誰にも見つかる事なく、
 ホテルのフロントまでたどり着かなくてはならない。
 しかも、最近そのホテルの館内に、変質者が出没するという噂が・・
 人生最大のピンチです!
 変態の汚名をかぶる事なく、脱出する。
 あなたの将来は・・ホテルのフロントマンが握っている!
 *転送装置を使用したリアルゲームなので、
 変質者として逮捕される危険性がありますので、真剣に行ってください。
 元ネタは、「パンツァーフロント」というゲームで、戦車で闘うゲームだそうです。
 それがパンツ一丁だなんてっ。
 s嬢に聞きまくらないと、全くわかりません(爆笑)

◇サイレンと蛭 痛
 赤外線装置がはり巡らせた熱帯魚販売店。
 黄金のアロワナを盗みにやってきたものの、
 運悪く、後少しの所で、血吸い蛭に襲われる!
 今もがけば、センサーに振れサイレンがなる・・・
 手に汗にぎる、怪盗ゲーム!
 *転送装置を使用したリアルゲームなので、
 逮捕される危険性がありますので、真剣に行ってください。
 元ネタは「サイレントヒル 2」
 このゲーム怖いんですよね! ゾンビみたいなのがいっぱい襲ってきて。
 決して、アロワナを盗みに入るような、熱帯魚販売店など出てきません(爆笑)

◇丸刈り風呂入る!
 銭湯乙女を探して、男湯から、女湯へ、いかに見つからず
 溺れず、鼻血を流さずに潜入し、覗けるかという覗きゲーム!
 伝説の乙女の姿を見る事はできるのか!?
 *転送装置を使用したリアルゲームなので、
 逮捕される危険性がありますので、真剣に行ってください。
 元ネタは「ヴァルキリープロファイル」
 戦乙女ヴァルキリーという女の神様を動かす、RPGだそうです。
 戦乙女の部分が「銭湯」になったんですね(笑)

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◇ 2次創作本・・小説『怪盗赤神』 絶賛発売中!
「 おろし!」の作者s嬢も絶賛の作品!!
本編おろし!に先駆けて、本になると言うのも面白い話ではあるが・・
しかし、購入する価値はある本です。

赤神丞の日常の描写などは、ファン必見です。

詳しくは、ここ へ

よい人生を・・・

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つづく・・・